2号棟:作品を視聴する / はじめに

ベルリオーズの音楽作品を、YouTubeなど、身近なメディアで楽しんでいただくための棟です。

最初の2つの部屋は、イントロダクションです。もし、第1展示室の作品(小品、約8分)がお好みに合ったなら、次は、第2展示室の作品(大曲、約2時間)へとお進みください。ベルリオーズの作風は、一貫しています。なお、3番目以降の展示室は、今後、増設していく予定です。

ベルリオーズの作品を楽しむ「こつ」は、ドラマ(劇)に着目することです。ドラマは、歌手やコーラスが、歌で語ります。その際、彼の楽器、オーケストラが、ドラマに呼応し、何を語るかを、お聴きください。

歌手たちの言葉は、台本に書かれています。その台本が、各展示室に展示してあります。これを使い、ドラマと音楽を同時に進行させる方法を、説明します。まず、音楽が始まったら、原詩の真上にある日本語を、素早く読み取ってください。その後すぐに、日本語の下にある、対応する原詩の単語の綴りから、聞こえてくるはずの歌手の発音の見当をつけてください。読み方は、ローマ字式、英語式で構いません。台本と音楽がうまく同時進行(シンクロナイズ=同期)していれば、読みと発音に、何らかの一致点が感じられます。それが感じられている限り、ドラマと音楽は、同期しています。あとは安心して、ドラマと音楽が織りなす、ベルリオーズの世界を、お楽しみください。なお、台本は、比較的短時間で読めるので、音楽を聴く前に、全体を通して読まれることをお薦めします。そうすることで、聴取中、ドラマと音楽の同期を保つのに必要な、時間と注意力の余裕が生まれます。

作曲家ベルリオーズは、彼が敬愛した18世紀の作曲家、グルックと同じように、言葉で語られるドラマに反応して、音楽を創り出していきます。あるいは逆に、彼の音楽は、言葉にはない、音楽だけが持つ力(言葉によらず、聴き手の心に、直接、働きかける力)を駆使して、言葉を支援する一方で、自らも、ドラマを語ります。作品は、できれば何度も繰り返し、お聴きください。聴き直すたびに、前の聴取では感じ取れなかった、ドラマと音楽の新たな関係を、発見されることと思います。そのような発見を通じ、私たちは、この作曲家が創造した、音楽によるドラマの世界に、深く入っていくことができるのだと思います。(了)

第1展示室『囚われの女』
第2展示室『ファウストの劫罰』
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