手紙セレクション / Selected Letters / 1832年6月22日(28歳)

凡例:緑字は訳注  薄紫字は音源に関する注

ラ・コート・サンタンドレ発、1832年6月22日金曜日
アンベール・フェラン宛

大切な友よ、
どうか悪く思わないでくれたまえ、僕の落ち度ではないのだ。まさに発とうとしていた矢先、この家で数日を過ごそうと、グルノーブルから妹[ナンシー]がやって来た。僕が当地にいるからだ。分かってくれると思うが、家族の集まりを台無しにさせる訳にはいかなかった。おまけにひどい歯痛に襲われた。おかげで僕はその晩一睡もできず、久しく自室で足止めを食う羽目に陥った。僕の頬はボールのように腫れている。

こうなれば、なすべきことはただ一つ、リヨンから戻ったら手紙をくれたまえ。外出できる状態でさえあれば、すぐに出発することを約束しよう(écrivez-moi votre retour de Lyon, et je vous réponds de partir aussitôt, si je suis capable de sortir.[votreの前にàを補って訳出])。

デュボワからも、僕がローマにいる間に彼がしてくれていたラ・コンブの彼の別荘への招待を再度受けている。だが、これに応じるのは、貴君に会ってからだ。

最近、グネから手紙が来た。コレラの流行と先の騒擾以来、彼の安否を心配していたが、彼は無事にしている。

さようなら、貴君を抱擁する。(了)[書簡全集279]

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