凡例:緑字は訳注 薄紫字は音源に関する注
パリ発1833年3月29日、
ロラン・シャラヴェル[イゼール県内の町、ラ・トゥール・デュ・パンの治安判事〜情報の出所:CGII p.94、『家族の手紙』2巻p. 95n.2]宛
拝啓
お見知りいただく光栄には未だ浴していませんが、共通の友人、デュシャド( Duchadoz )の勧めにより、私にとって非常に重要な案件の受任をお願いしたく、本状を認(したた)めています。
私の代理人として、ラ・コート・サンタドレの公証人、シミオン氏ととともに、私の両親に対し、「丁重な証書」を2度( deux actes respectueux )、差し出すことをお引き受けいただけないでしょうか。
私は、取り決めたいと思っている結婚が両親の意向に沿わないことから、この方法に訴えることを余儀なくされています。本年2月末に初回のソマシオンが実行されましたが、私の古い友人、エドゥアール・ロシェ氏が、家に関わる種々の配慮から、手続を続行することができなくなったので、ぜひとも彼の後任となることをお引き受けいただきたいのです。
この案件をお引き受けいただくことは、私にとって、どれほど感謝しても足りないほど重要なことです。デュシャドも私も、ロシェ氏にソマシオンの続行を思いとどまらせた事情は、貴方には存在しないと考えています。私を窮地から救い出してくださることは、貴方には、容易なことなのです。
前もってご厚意に心よりお礼申し上げるとともに、このようなお願いをする失礼の段、お許しいただきたく存じます。
敬具
エクトル・ベルリオーズ(了)[書簡全集331]