手紙セレクション / Selected Letters / 1825年1月3日妹ナンシーの日記

凡例:緑字は訳注

1825年1月3日
妹ナンシーの日記

兄から手紙が届き、いつもどおりの効果を上げた。つまり、父と母を絶望させたということだ。兄の欠点をあげつらうときの父と母の考え方には、どこかひどく誇張されたところがある。あまりにそうなので、兄が私たちを恥と不名誉で覆うことになったときも、父と母は、いま抱(いだ)いている感情以上の感情は、もたないだろう[Il y a dans la manière dont ils envisagent le travers de mon frère, quelque chose de si exagéré, que quand il nous couvrirait de honte et d’infamie, ils n’auraient pas d’autres sentiments que ceux qu’ils ont.〜父と母は、まだそうと決まったわけでもないに、あたかもすでに家名が恥と不名誉に覆われてしまったかのように、絶望感に捉われている、の意と思われる]。(了)[書簡全集37]

訳注/『ミサ曲』リハーサルの失敗(1824年12月。『回想録』7章。)
エクトルの手紙は、家族に知らせてあった、彼の成功の証しとなるべき、『荘厳ミサ曲』の演奏が、総稽古の失敗により、実行できなくなったことを、報告したものだった。

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