手紙セレクション / Selected Letters / 1833年3月21日(29歳)

凡例:緑字は訳注  薄紫字は音源に関する注

パリ発、1833年3月21日、
エドゥアール・ロシェ宛

親愛なエドゥアール、

この手紙を受け取ったらすぐ、シミアンに会いに行き、できるだけ早く父への2回目のソマシオンを実行してくれるよう、僕に代わって頼み込んで欲しい。前の手紙で君に書いたことは無視して、是非ともそうしてもらう必要がある。父がその持てる不公正な影響力を目一杯使って引き延ばしを図るという無益で残忍な挙に出ているこの厄介な問題にけりをつけるについては、僕は何にも増して、君の献身的な愛情を頼りにしている。このことで君とシミアンに色々厄介をかけることをどうか赦してくれたまえ。だが、両親に見放されたときに頼れる友もないようでは、この世は地獄の予告の場所となってしまうだろう[の意か? mais quand les parents vous abandonnent, si les amis nous manquaient eux aussi, le monde serait une succursale anticipée de l’enfer.]

アンリエットの足はかなり良くなっている。彼女は来週イタリア劇場で募金公演を行う。大変見事な、利益の多い催しになるだろうと、僕らは期待している。残念ながら彼女は出演できないが、フランス劇場、パレ・ロワイヤルの劇場、それにイタリア劇場が熱心に支援してくれている。僕も、新しい楽派のうちで最も有名な演奏家3、4人が出演する、ちょっとした器楽演奏会を、幕間に企画している。

ということで、さあ、合意は成った。一刻も早く2度目のソマシオンを実施し、済み次第、手紙で知らせてくれたまえ。

さようなら、君の誠実な

H.ベルリオーズ(了)[書簡全集329]

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