手紙セレクション / Selected Letters / 1833年2月23日(29歳)

凡例:緑字は訳注  薄紫字は音源に関する注

パリ発、[1833年]2月23日、
エドゥアール・ロシェ宛

親愛なエドゥアール、

もし君が僕を愛してくれているなら、ほんの少しでも僕に親愛の情を持ってくれているなら、僕がジュストに頼んで引き受けてもらえなかった役目を、君は断らないでくれると思う。

僕の[名義の君への]委任状を送るから、シミアン[ラ・コートの公証人〜書簡全集2巻 p.85 n.1]のところへ行き、僕が自らの結婚のために行う1回目のソマシオン( sommation 〜 催告)[父母の同意のないまま結婚するために3度実施することが必要な父母への証書提出の手続]の差し出し( présenter )を僕の両親に対して行うことを、僕を代理して、彼に頼んでくれたまえ(公証人[ベルリオーズのロシェへの委任状を作成したパリの公証人を指すものと思われる。書簡全集2巻  p.55年譜、p.85 n.1参照]によれば、君には必要に応じそうする権限がある)。シミアンは、ジュストのように君と協力してこの役目を引き受けることを嫌がることはないと思う。

これを断るのなら、エドゥアール、もう僕を君の友達の一人には数えないでくれたまえ。さようなら。ソマシオンが実行されたら、すぐ知らせてくれたまえ。

H .ベルリオーズ

ああ、エドゥアール、父は何らかの不幸の原因になるだろう。怒りも咎めも含まない1通の手紙が、父から届いたところだが、その中で彼は、僕についてぞっとするようなひどい思い違いをしているのだ。彼は僕がギャンブラー( joueur )になるだろうとまで言っている。カードに触れたことすらないこの僕だというのに。彼は完全に取り留めのない空想にふけってしまっている。彼は僕のアンリエットへの愛を、まるで昨日始まったもののように書いている。1827年からの愛だというのに!!!

ああ、何という不幸か!!( Malheur ! ! Malheur ! ! )

少なくとも君は時間を無駄にしないでくれるに違いない。君の友情を当てにしている。父は、自分が同意を与えたことで人の謗(そし)りを受けることのないよう、僕が従順を表明すること( que je fasse des soumissions )[ソマシオンの手続を履むことを指すと解される]を望んでいるのだ。

証書は母にも提示する必要がある点に十分気を付けてくれたまえ!無効にならないように。シミアンに支払うべき費用等々、この件に掛かった費用のすべてを知らせてくれたまえ。(了)[書簡全集324]

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