凡例:緑字は訳注
兄弟たちよ! 君たち[フランス7月革命に加わったパリの市民たち]にも、ついに活躍の日がきた!
樫の木と花とで飾られた君たちの勝利、
君たちの公民としての栄誉、君たちの葬られた死者、
生の夜明けの薄明の中、素晴しく見事な君たちの大勝利、
アウステルリッツ[1805年12月、ナポレオン率いるフランス軍が墺・露皇帝率いられた両国連合軍を破った古戦場]の古い軍旗が羨むほどたくさんの穴が開いた、君たちの新しい軍旗 !
誇らしく思いたまえ! 君たちは父祖のそれに並ぶ偉業を成し遂げた。
多くの戦いを経て勝ち取られた、すべての人の権利。
君たちはそれを、死衣の中から生きたまま取り出したのだ。
7月は、君に家族[同胞の意とみられる]を救わせようと、
城塞(バスティ―ユ)をも燃やすその最盛期の太陽のうちの3つまで[「栄光の3日間」、すなわち、パリで革命の市街戦が戦われた1830年7月27日から29日までの3日間を指す]を、君たちに与えた。
君たちの父親たちに与えられたのは、1つだけ[パリ市民がバスチーユ牢獄を襲った1789年7月14日を指す]だったのに!
君たちは、確かに彼ら[フランス革命とそれに続くナポレオン戦争を戦ったフランス国民を指していることが、前後の詩行から分かる]の息子だ!
君たちの腕を青銅のように堅固にし、君たちの目を炎のような熱情に燃え立たせたのは、彼らの血であり、魂なのだ。
すべてが彼らに始まり、そして君たちの番がきたということだ。
君たちの母は、確かに、
その気になれば、世の人に示すため
1世紀をも1日にまとめることができる、
この豊かなフランスだ !
嫉妬深いイギリス、ホメロスの国ギリシャ、
全ヨーロッパが感嘆している。若きアメリカが
立ち上がり、大洋の向う岸から拍手を送っている。
君たちがその桎梏を打ち破るには、3日で十分だった。
君たちは、勇士の一族[圧政に抗って立ち上がったヨーロッパ諸国民のことか]の長兄にして
英傑たちの息子なのだ!
君たちのためだったのだ、彼ら[フランス革命、ナポレオン戦争に加わったフランス国民]が仲間を弔いつつ、
戦闘の平原、勝利の道、並外れた仕事の
あの勝利の周回路を歩んだのは。
その周回路は、
世界を包囲すべくフランスを発ち
ジェマップ[フランス革命の最中(さなか)の1792年11月6日、仏国民軍がオーストラリア軍を破った場所。この戦勝の約2週間後、仏議会は『国民公会は、みずからの自由を回復しようとするすべての国民に、友愛と救いの手をさしのべることを、フランス国民の名において宣言する』とする有名な法令を採択した(中公旧10-229)。]から
モスクワ、カディス、ローマ、カイロを経由して
モンミラーユ[パリ東方プティ・モラン川沿いの町。1814年、ナポレオンはこの地でロシア軍,プロイセン軍を破った。]に至る道だ!
君たちは、戦いを好む学校の子らだ!
君たちはそこで、我らの過去の勝利の数々に拍手喝采した。
君たちの競技会は、いつも一つの軍旗の下にあった。
偉大な思想に満ちたナポレオンが、君たちのひしめき合った列を腕組みしてしばしば訪れ、君たちの前線を、その眼差しで磁化した!
彼らが付き従うことを運命付けられていた鷲[ナポレオンのこと]、我らが陸軍の鷲。
その血染めの羽は、いたる所で散り、
その雷は、ある晩、波間に消えてしまった[1821年、セント・ヘレナ島でナポレオンが死去したことを指す]。
父鷲の巣で卵を温めていた貴女!
見てください、喜んでください、叫んでください、羽ばたいてください、
お母さん、貴女の雛が孵ったのです! [先行する詩句(「君たちの母は・・・この豊かなフランスだ !」)から、「貴女」とは、母なる国、フランスのことであることが分かる。「雛」とは、7月革命に加わったパリの市民たちのことであろう。]
(第2―7連〜略)
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Dicté après juillet 1830 (le première partie)
Frères ! et vous aussi, vous avez vos journées !
Vos victoires, de chêne et de fleurs couronnées,
Vos civiques lauriers, vos morts ensevelis,
Vos triomphes, si beaux à l’aube de la vie,
Vos jeunes étendards, troués à faire envie
A de vieux drapeaux d’Austerlitz !
Soyez fiers ! vous avez fait autant que vos pères.
Les droits d’un peuple entier, conquis par tant de guerres,
Vous les avez tirés tout vivants du linceul.
Juillet vous a donné, pour sauver vos familles,
Trois de ces beaux soleils qui brûlent les bastilles :
Vos pères n’en ont eu qu’un seul !
Vous êtes bien leurs fils ! c’est leur sang, c’est leur âme
Qui fait vos bras d’airain et vos regards de flamme.
Ils ont tout commencé.: Vvous avez votre tour.
Votre mère, c’est bien cette France féconde
Qui fait, quand il lui plaît, pour l’exemple du monde,
Tenir un siècle dans un jour !
L’Angleterre jalouse et la Grèce homérique,
Toute l’Europe admire, et la jeune Amérique
Se lève et bat des mains, du bord des océans.
Trois jours vous ont suffi pour briser vos entraves :
Vous êtes les aînés d’une race de braves,
Vous êtes les fils des géants !
C’est pour vous qu’ils traçaient avec des funérailles
Ce cercle triomphal de plaines de batailles,
Chemin victorieux, prodigieux travail,
Qui, de France parti pour enserrer la terre,
En passant par Moscou, Cadix, Rome et le Caire,
Va de Jemmape à Montmirail !
Vous êtes les enfants des belliqueux lycées !
Là vous applaudissiez nos victoires passées ;
Tous vos jeux s’ombrageaient des plis d’un étendard.
Souvent Napoléon, plein de grandes pensées,
Passant, les bras croisés, dans vos lignes pressées,
Aimanta vos fronts d’un regard !
Aigle qu’ils devaient suivre ! aigle de notre armée
Dont la plume sanglante en cent lieux est semée,
Dont le tonnerre un soir s’éteignit dans les flots,
Toi qui les as couvés dans l’aire paternelle,
Regarde, et sois joyeuse, et crie, et bats de l’aile !
Mère, tes aiglons sont éclos !
出所:Victor Hugo, Les chants du crépuscule, Allgemeine Niederlandische Buchhandlung, 1835, Bruxelles et Leipzig (Gallica)